願いが叶う旅と本とグルメの開運ブログ(開運の神社飯)

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開運本12「銀しゃり」

山本一力の江戸・深川を舞台にした時代小説「銀しゃり」を読んだ。鮨の名店で修行を終えた新吉は独立し、深川に「三ツ木鮨」を開く。小説のタイトルのように、新吉は親方の教えを守り、二割も高い庄内米を仕入れ、炊き方にもこだわり、しゃりへの思いは半端ない。上方由来の箱寿司である柿鮨(こけらずし)には贅沢品である砂糖をたっぶり使い、材料費がかさむ。そんな新吉に旗本の勘定方の小西秋之助が自分の庭に生えている柿の皮を酢に漬け込み、その甘味を利用したらどうかと提案する。さらには、新吉は仕込みの開始時間を早め、鮨を寝かすことで旨みが増すことに気付き、売上が伸びた。
新吉は子連れの人妻に岡惚れするが、トラブルに巻き込まれる。そんな折、新吉は親友で、魚を仕入れて売る棒手振(ぼてふり)の順平の妹、おけいの気持ちに気付く。しかし、順平が魚を仕入れに向かうために乗った船が横転し、川に投げ出され、行方不明となる。
500ページ近い長編だが、深川を舞台に美味い柿鮨を拵えることに情熱を注ぐ鮨職人と仲間たちの人情劇に酔いしれた。 f:id:daikaiun777:20210211223157j:image