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開運本3「天命」

大学時代、「青春の門」を読み、五木寛之にはまった。主人公の伊吹信助が福岡の筑豊から上京する時、亡き母の遺骨を噛む「骨噛み」のシーンは今も印象に残っている。社会の荒波に出ていく信助の姿に自らの人生を重ねた。他にも、「燃える秋」「四季・奈津子」「風の王国」「風花の人」などの五木寛之ワールドに魅せられた。
五木寛之は小説だけでなく、エッセイも味わいがある。「天命」では、現在、齢80を超えている五木の死生観を披露している。戦後の朝鮮からの悲惨な引き揚げ体験、母を失った悲しみがベースに色濃い。誰が死に、誰が生き残るべきだったのかと、ずっと自問自答をしてきたという。
「私は、人が生きていることはそれだけで悲しいことなんだ、とずっと言い続けています」
休筆中に大学で仏教史を学び、蓮如親鸞を題材にした小説を書いてきた五木寛之が到達した境地だろうか。

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