願いが叶う旅と本とグルメの開運ブログ(開運の神社飯)

幸せをつかむための開運旅ブログ(開運の神社飯)

開運本15「一瞬の光」

「一億円のさようなら」「私という運命について」に続き、白石一文のデビュー作「一瞬の光」を読んだ。意外な展開の連続で、面白かった。しかし、描かれている人物の内面を読み解くのが難解な作品でもあった。主人公の橋田浩介は日本最大の財閥の中核企業で働き、扇谷社長の懐刀として重用され、若くして、人事課長に抜擢された。会社の後輩に連れて行かれた店のバーテンダーの女性は偶然にも、昼に採用の面接をしたが不合格の短大生だった。タクシーが捕まらず、しばらく歩いていると、男が女性に暴力を振るっている場面に出くわす。先程のバーテンダーの中平香折が店長の男と揉めているところを橋田は救う。橋田は香折の就職活動を手伝い、香折の幼少期からの心の傷に寄り添っていく。エリート街道をひた走っていた橋田だが、副社長派の巻き返しにより、窮地に陥る。一人の男が出世争い、派閥抗争、裏切り、同僚の死などドロドロした濁流に翻弄される中、一人の女性との触れ合いを通して、自分の人生にとって大切なものに気づく再生の物語。600ページ近い長編だが、巧みなストーリー展開に巻き込まれ、一気に読んだ。 

f:id:daikaiun777:20210503123612j:image