昨日、プロレスリング・ノアの日本武道館大会を観戦した。大会名の『DESTINATION 2021~BACK TO BUDOKAN~ 』が示すように、ノアは11年ぶりに武道館に戻ってきた。
メインは潮崎豪vs武藤敬司。新日本プロレスで闘魂三銃士として活躍した後、全日本プロレスに電撃移籍し、WRESTLE-1を立ち上げるなど、プロレス界を縦横無尽の活躍をした58歳のレジェンドが、39歳のGHCヘビー級王者の潮崎に挑戦した。
全盛期の武藤の試合が脳裏に焼き付いている私にとって、動きのキレのなさ、技の少なさに少々、驚いた。繰り出す技は、低空ドロップキック、ドラゴンスクリュー、4の地固め、そして、現在の武藤の代名詞シャイニングウィザードしかない。若い頃の武藤の代名詞だったムーンサルトプレスは満身創痍の老兵には、望むべくもない。30分近い死闘の末、一瞬の隙をついたフランケンシュタイナーで、58歳の天才はノアの至宝のベルトを腰に巻いた。ほとんどの観客が予想していない圧巻の結末だった。
翼を痛め、高く飛べなくなった年老いた鳥。過去の飛行の記憶に抗いながらも、だましだまし戦う姿に爽やかな感動を覚えた。人は年を取れば体力、気力をはじめ失うものが多い。しかし、自分が今、持っているものを生かして、戦えばまだまだ輝けるんだという気づきがあった。それを人生の経験に裏付けられた“いぶし銀”の輝きと呼ぶのだろうか。
感動の冷めやらね中、20時以降も開いている店を探し、九段下駅周辺を彷徨った。やっと見つけた「鉄板diningロドリゲス」で、鉄板焼きとワインを堪能した。